迷軍師美月が行く!(2)
柳生美冬 vs ウィン・ミラーの一戦を控えた控え室。
杉浦美月は柳生ではなくウィン・ミラーの控え室にいた。
「……という訳です」
「いくらなんでもそれはやりすぎじゃ……」
「甘い!甘すぎます!」
「よーく考えてみてください」
「あのジャニス・クレアやスナイパー姉妹ですら『サバイバー』では出れなかったのですよ」
「『サバイバー2』では登場しましたが、それも人気投票の結果で、です」
「個性豊かなメンバーが揃うEWAでミラーさんは地味すぎます」
「!?」
「だから専用アイコンも用意されずハロで代用されるんです」
「そ、そんな……」
「ここで変わらないといつまでもそのままですよ」
「いえ、それどころか次回作にでれるかどうかも分かりません」
「そ、それはイヤ~!」
「だったら躊躇う事はないでしょう。これを使ってください」
「そして新しい一歩を踏み出すんです」
「美月ちゃん、まるで悪党のセリフだね」
「宋江も呉用も目的のためには手段を選ばない」
「相手の幸せをぶち壊し、不幸な目にあわせても自分達の欲望を満足させるのが大事だから」
プロレス界の呉学人、”ファイティングコンピューター”杉浦美月。
”智多星”美月とも呼ばれる杉浦が授けた策とは?
杉浦美月は柳生ではなくウィン・ミラーの控え室にいた。


















プロレス界の呉学人、”ファイティングコンピューター”杉浦美月。
”智多星”美月とも呼ばれる杉浦が授けた策とは?
柳生美冬との試合開始のゴングが鳴ると、すぐさま柳生の元に駆け寄るウィン・ミラー。
「ハアッ!」
得意の関節技を仕掛けるのではなく、チョップを仕掛ける。
「甘い!」
そのチョップを避ける柳生。
ミラーの得意技は関節技、打撃技は得意としていない。寧ろ苦手と言っていい。
そんなミラーのチョップを避けることなど柳生にとってはたやすい事、のはずだった。
しかし……。
「!?」
柳生の顔が切り裂かれ流血する。
「な、確かに避けたはず……」
驚きを隠せない柳生。
観客も驚き、そしてミラーの姿を、手元を見てさらに驚きざわめきが大きくなる。
ミラーの手元にあったのは剃刀。
剃刀を挟んでチョップを仕掛けたのである。
まさかミラーがこんな手段を取るとは誰が予想しただろうか。
「皆さん驚いていますね。さあミラーさん、やっ~ておしまい!」
「柳生、お前の血でリングの上に赤い雨を降らせてやるぜ!」
そして次々とチョップを繰り出すウィン・ミラー。
ミラーの変貌振りに驚いた柳生だったが、冷静さを取り戻しミラーのチョップを避けていく。
そしてカウンターで手刀を繰り出す。
「ハッ!」
「!?」
流血するミラー。
「そのような紛い物な技、いつまでも通用すると思ったのか」
「本物の技の切れ味を見せてやる!」
気合を込めた手刀を繰り出す柳生。
その鋭さはまるで居合い斬りの如し。
「そのような凶器に頼らずとも真に気合を込めた一撃は何にも変えがたい武器となる」
「気合を込めた一撃こそが真の最強の武器なのだ」
「赤い雨を降らすのは拙者ではなくお主だったようだな」
「う……、うるさい。これでも喰らえ!」
それでも剃刀を挟んだチョップを次々と繰り出すミラー。
が、その攻撃は何と柳生の体をすり抜ける。
「なっ……、どうなっているの」
「まさかこれが噂に聞く神技的ディフェンス?」
「これで、終わりだ!」
「雷光明王流転拳!」
一瞬の内に両手で10発の掌底を繰り出す柳生。
顎を上に上げて吹き飛ぶミラー。
そしてカウントが始まる。
1!、2!、3!……8!、9!……10!
柳生美冬の勝利!
「そのような物を使わずに戦っていれば、どうなっていたか分からなかったものを」
「しまった、何て大事な事を見落として……」
場面は再び控え室
「駄目だったじゃないですか!こんな事ならいつも通り戦っていた方が良かったです」
悔やむミラー。
「すみません、私としたことが大事な事を見落としていました」
「大事な事?」
「はい。ベルリンの赤い雨の使い手であるブロッケンJrもジェイドもかませ犬的扱いです」
「そしてそれはミラーさんも同じ」
「つまりベル赤を取得した事でかませ犬パワーも2乗、3乗とされてしまったのです」
「何気にかなり酷い事言ってるよね」
「ミラーさん落ち込んでるよ」
「かませ犬云々じゃなくて本物の前に贋作は通用しなかったという方が正しいよね」
「……その通りだけど、それも何気にひどい……」
「それにしても柳生さん凄かったよ。さすが武士道は違うね」
「……武士道?」

「いや、レッスルで武士道と言えばこっちだよ」

「……こんなのもある」

「うわっ、なにこれ。どっから見てもミスターブシドーだよ」
「マジ恋に出てる……みたい」
「へえ~、そうなんだ」
「何の話をしているんですか」
「美月ちゃん!ミラーさんはどうしたの?」
「ミラーさんですか。どうしてか分かりませんが軍師職はクビだと言われてしまいました」
「これ以上ここに居ても仕方ありません。次の選手のところに行きましょう」
「理由は明白だと思うけどなあ」

得意の関節技を仕掛けるのではなく、チョップを仕掛ける。

そのチョップを避ける柳生。
ミラーの得意技は関節技、打撃技は得意としていない。寧ろ苦手と言っていい。
そんなミラーのチョップを避けることなど柳生にとってはたやすい事、のはずだった。
しかし……。

柳生の顔が切り裂かれ流血する。

驚きを隠せない柳生。
観客も驚き、そしてミラーの姿を、手元を見てさらに驚きざわめきが大きくなる。
ミラーの手元にあったのは剃刀。
剃刀を挟んでチョップを仕掛けたのである。
まさかミラーがこんな手段を取るとは誰が予想しただろうか。


そして次々とチョップを繰り出すウィン・ミラー。
ミラーの変貌振りに驚いた柳生だったが、冷静さを取り戻しミラーのチョップを避けていく。
そしてカウンターで手刀を繰り出す。


流血するミラー。


気合を込めた手刀を繰り出す柳生。
その鋭さはまるで居合い斬りの如し。




それでも剃刀を挟んだチョップを次々と繰り出すミラー。
が、その攻撃は何と柳生の体をすり抜ける。




一瞬の内に両手で10発の掌底を繰り出す柳生。
顎を上に上げて吹き飛ぶミラー。
そしてカウントが始まる。
1!、2!、3!……8!、9!……10!
柳生美冬の勝利!


場面は再び控え室

悔やむミラー。
























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